石材を初めて知る方へ
語弊を恐れずにいえば、オリンピックで勝つよりも、ワールドカップで勝つことの方が、ずっと名誉なのだ。
試合の何日も前から、白地に赤い十字のイングランドの旗をつけた車が通りを行き交っていた。
住宅地でも、イングランドの旗が家々の窓から垂れ下がった。
ちょうどこの年は、エリザベス女王の在位五十年紀(ジュビリー)にあたり、数々の祝賀行事が行なわれたが、そのハイライトともいうべきコンサートは、ワールドカップ開催中の六月だった。
女王はその際のお言葉の中で、「今、ワールドカップが行なわれていますが、五十年紀の行事にはハーフタイムの休みはありません」と述べられ、聴衆をどっと沸かせた。
無論、これはジョークだ。
そして、このジョークは大受けした。
女王がそのお言葉に引用されるほど、ワールドカップは国民的関心事であったのである。
イングランドの第一試合は、対スウェーデン戦であった。
ちょうど日曜日だったが、街は静まり返っている。
皆、試合のテレビ中継を見るために、家か近所のパブに引きこもっているのだ。
その朝、私が犬を連れて散歩していると、そのあたりの家々から一斉にわっと歓声があがり、「よし」とか「よくやった」とかの大きなかけ声が聞こえて来た。
私は、ああイングランドが点を取ったのだな、と思った。
帰宅して妻に、「イングランドが先制点を取っただろう」と聞いてみると、「テレビを見ていないのに、なぜ分かるの?」と言う。
「テレビを見ていなくとも、外を歩いておれば分かるのだ」と答えると、不思議そうな顔をした。
イングランドの第一戦は結局引き分けに終わり、第二戦のアルゼンチンとの試合が重要な意味「何している。早く来い。試合開始に遅れるぞ」皆で近くのパブに繰り込み、大型画面のテレビで観戦しながら、応援しようというのだ。
私の周囲を見渡すと、いつの間にか同僚たちが姿を消している。
彼らは試合が終了した三時ごろまで戻って来なかった。
パブで、ビールを飲みながら応援していたのである。
を持つことになった。
しかも、アルゼンチンとは過去にいくつかのトラブルがあり、日本のマスコミは「因縁試合」という言葉を使った。
「お宅はどう対応しますか?」とある日系銀行から問い合わせがあった。
「何のことですか?」「ワールドカップのことですよ。イングランドの試合は仕事時間中ですが、社員にテレビを見ることを許可しますか?うちはどうしようかと思案中なのですよ」 第二戦は、金曜日の昼十二時半からだった。
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